用としての美しさ

粉引の白いそば猪口。もうどれくらい経つのでしょうか。
長い月日をともに暮らしています。
家内が買い求めお気に入りとして過ごし、時にはお酒を注がれ僕の晩酌の器として、
時には眠れない夜、喉を潤す一杯の水を注がれて。
オヤジギャグを連発しつまらないことでも大爆笑しあったり、ちょっとしたほころびから大ゲンカにつながったり、
どこにでもある家族の泣き笑いを見つめ、行く末を見守りながら家族の一員として時をともにしてきました。
「用が生命としての器は、用を果たす時、器は一層美しくなる」という柳宗悦の言葉は、我が家のこの美しいそば猪口にも降り注がれています。